書籍表紙

データ可視化の基本が全部わかる本: 収集・変換からビジュアライゼーション・データ分析支援まで

著者:矢崎裕一

ISBN:978-4798183688

ページ数:352ページ

価格:2,750円(税込)

発売日:2024年8月28日

コンセプト

データ可視化とは、一言でいうと「データに基づく知的活動や説得を支援するための技術と方法論」です。

データ可視化は、課題解決の近道である「課題は何か」、つまり「正しい質問は何か」という仮説構築を後押しします。人間の直感と機械の処理能力を組み合わせ、より効果的で信頼性の高いAIシステムのあり方を実現します。タイムリーな判断が求められる場面でも、複雑な情報を直感的に理解しやすい形式に変換して意思決定を強力に支援します。

また、データ可視化はデータを通じて現実のある現象をストーリー化し、効果的に伝えられます。視覚的な表現は理解しやすく、記憶に残りやすいため、説得力のあるコミュニケーションを実現します。さらに、データ可視化を作る人が導く体験とそれを使う人が主体的に探索する体験を組み合わせることで、より深い理解と共感を生み出せます。

データ可視化はビジネス、データサイエンス、社会科学、人文科学、自然科学などさまざまな領域で実践されています。同時に、情報デザイン、コンピュータサイエンス、データサイエンス、統計学、記号学、インタラクションデザイン、ストーリーテリングなどいろいろな分野に知見が散在しています。

こうした分野・領域を総合的に見分し、データ可視化の歴史的な経緯や研究成果の積み重ねによる知見を参考にしながら、データ分析の結果としてのデータ可視化や、プレゼンテーション術の一部として語られることの多かったデータ可視化について、より多面的・実践的に活用できる基本的な知識体系として執筆しました。

想定する読者

  • データ分析の実務者:データの分析結果を効果的に伝えるスキルと、ステークホルダーの説得を円滑に進める技術が学べます。
  • UI・UXデザイナーやエンジニア:ユーザーとのコミュニケーションにおける可視化の選択肢、価値観や考え方の原理原則から実例までが学べます。
  • プロダクトマネージャー、プロジェクトマネージャー:事業の進捗度や課題の可視化、ツール選定やダッシュボードの設計に役立つ指針が学べます。
  • マーケティングや事業戦略の担当者:市場動向や顧客理解を深め、データに基づくマーケティングや事業の戦略と施策立案のヒントを学べます。
  • 企業の広報・コミュニケーションの担当者:企業価値を正しく効果的に伝えるチャートの選び方や視覚化のアイデアを学べます。
  • 報道機関のジャーナリスト:データを活用したストーリーテリングの手法や説得のための表現手法が学べます。
  • 大学生、専門学校生:データ社会における必要不可欠なリテラシーが学べるだけでなく、データに基づく思考法や問題解決力の向上の手助けとなります。

読者レビュー

データサイエンティスト視点からも素敵な内容

data_momoさん(amazon.co.jpレビュー)

可視化において最もわかりやすい成果物は「洗練された図表」であり、その実装コードが可視化人材にとっての直接的武器であることを踏まえると、一部厳しいレビューが付くのは仕方がないのかもしれません。

本書は、個別の武器提供に留まりがちな可視化の現状を克服し、可視化の真のポテンシャルを解放させようとする大変意欲的かつ挑戦的な一冊だと感じました。

網羅的・体系的で読みやすいデータ可視化の教科書

eTeaさん(amazon.co.jpレビュー)

個人的には網羅的かつ読みやすい良書でした。実務・趣味の双方でデータ可視化に触れているのですが、これまで自身の感覚のみを頼りにやってきたので、「何のために可視化するのか」「自分の可視化アプローチは果たして適切なのか」といった基本に立ち返るための学びを随所で得られました。

学問体系としてのデータ可視化

Dayさん(amazon.co.jpレビュー)

正直なところ、よくあるデータ可視化でわかりやすく示すという本かと思っていました。しかし出だしから既に様相が違っていて、至ってまともに可視化に関して語られています。さながら学問体系という体裁が整った風格すらありました。ビジュアライゼーションは学問としては不遇な分野ですが、誰もが使うツールの基礎として学んでおくべきかと思います。

物事の本質を見極める上で極めて合理的な方法論

大田和 哲也さん(昭和女子大学現代ビジネス研究所)

データ可視化の意義が、手の込んだグラフィック手法を駆使して単に分かりやすくする事ではないとアカデミックなロジックで知らしめて頂いている点に感銘しました。この本が、単にデータサイエンティストやビジネスパーソンだけでなく、旧態依然が未だ散見される人文社会科学分野の研究者や学生の間でも広く読まれる事を期待しています。

いい教科書。

Amazon カスタマーさん(amazon.co.jpレビュー)

データ可視化BOKって感じです。自分の中のデータ扱う仕事についたら、とりあえずこれ読んだきましょうかって本の仲間入りしました。可視化の本を読み漁る前に出会いたかった良い教科書だと感じました。

コンサルの教科書

南 知宏さん(amazon.co.jpレビュー)

長年コンサルとしてデータの可視化は悩みの種でした。本書は可視化の手段を網羅的にカバーしているだけでなく、目的による使い分けの考え方も書かれていて、若手のコンサル向けの教科書として最適なだけでなく、シニアなコンサルやプロマネにも参考になる本だと思います。

高校生の息子にも読ませます。

moさん(機械学習エンジニア)

常々、業務でデータ可視化の重要性を痛感することが多々あり、人間の目の優秀さには驚くばかりです。書籍は内容が濃いので、少しずつ読み進めています。個人的には、HowTo本よりも教科書的な物を求めているため、ちょうど良い内容です。高校生の息子にも読ませます。

本書の構成

時間(When)のチャート分類 場所(Where)のチャート分類 関係(To Whom)のチャート分類

目次

基礎編

基礎編の目次構成

第1章 なぜデータを可視化するのか

  • 1-1 データを可視化する理由
  • 1-2 視覚優位な特性と外的表象の力を活かす
  • 1-3 知的活動を支援する
  • 1-4 ストーリーを伝達し説得する

第2章 データ可視化とは何か

  • 2-1 データを視覚的に表現する
  • 2-2 分野を超えた学際性
  • 2-3 チャートには文法がある
  • 2-4 3つの枠組みで可視化表現をとらえる
  • 2-5 可視化を通じたコミュニケーション

第3章 どんな分野で用いられているか

  • 3-1 さまざまな分野で活用されるデータ可視化
  • 3-2 統計学
  • 3-3 機械学習・AI
  • 3-4 経済
  • 3-5 音楽学
  • 3-6 ソーシャルグッド
  • 3-7 データジャーナリズム(社会科学)
  • 3-8 デジタル・ヒューマニティーズ(人文学)
  • 3-9 デジタル・エスノグラフィ(文化人類学)
  • 3-10 スポーツ
  • 3-11 自然科学
  • 3-12 行政

第4章 チャートの文法とは何か

  • 4-1 チャートの文法とは何か
  • 4-2 ビジュアル変換
  • 4-3 スペース変換
  • 4-4 スケール
  • 4-5 ノンデータ・グラフィック

第5章 可視化表現の三層モデルとは何か

  • 5-1 可視化表現の3層モデルとは何か
  • 5-2 知覚的枠組み
  • 5-3 慣習的枠組み
  • 5-4 知覚と慣習のバランス
  • 5-5 可視化表現のトレードオフ

第6章 色はどのように選ぶか

  • 6-1 なぜ色は重要なのか
  • 6-2 情報デザインの観点
  • 6-3 データの性質による観点
  • 6-4 慣習的な観点
  • 6-5 閲覧者や閲覧環境への配慮
  • 6-6 カラースキームの設計に役立つツール

第7章 コミュニケーションとしての可視化

  • 7-1 コミュニケーションの4つの観点
  • 7-2 コミュニケーション・モデルとは何か
  • 7-3 コミュニケーションには「探索」と「説明」がある
  • 7-4 理解のスペクトル
  • 7-5 可視化表現の撮影フレーミング

実務編

実務編の目次構成

第8章 ワークフローを理解する

  • 8-1 課題探索型ワークフロー
  • 8-2 表現伝達型ワークフロー

第9章 ゴールを設定する

  • 9-1 課題探索型におけるゴール
  • 9-2 表現伝達型におけるゴール
  • 9-3 利用シーンとターゲット

第10章 タスクを抽象化する

  • 10-1 分野固有の問いやテーマを抽象化する
  • 10-2 数値(How Many)のタスク
  • 10-3 言葉(What)のタスク
  • 10-4 時間(When)のタスク
  • 10-5 場所(Where)のタスク
  • 10-6 関係(To Whom)のタスク

第11章 データの実務知識をおさえる

  • 11-1 データの基本概念
  • 11-2 データの種類とファイル形式
  • 11-3 構造化データファイル
  • 11-4 非構造化データ
  • 11-5 ファイルの属性
  • 11-6 メタデータ

第12章 データを収集し処理する

  • 12-1 データ収集と管理
  • 12-2 データの品質と処理

第13章 チャートの選び方を知る

  • 13-1 タスク別チャートの分類方法
  • 13-2 可視化手法を分類する5W

第14章 数値(How Many)を可視化する

  • 14-1 利用するファイル形式の特徴
  • 14-2 ファイル形式にあったデータ操作の仕方
  • 14-3 チャートを分類する考え方
  • 14-4 数値を示すチャート表現一覧

第15章 言葉(What)を可視化する

  • 15-1 利用するファイル形式の特徴
  • 15-2 ファイル形式にあったデータ操作の仕方
  • 15-3 チャートを分類する考え方
  • 15-4 言葉を示すチャート表現一覧

第16章 時間(When)を可視化する

  • 16-1 利用するファイル形式の特徴
  • 16-2 ファイル形式にあったデータ操作の仕方
  • 16-3 チャートを分類する考え方
  • 16-4 時間を示すチャート表現一覧

第17章 場所(Where)を可視化する

  • 17-1 主題地図とは何か
  • 17-2 地理的空間の基礎知識
  • 17-3 従来の静的な地図とは異なる地理空間データ可視化
  • 17-4 利用するファイル形式の特徴
  • 17-5 ファイル形式にあったデータ操作の仕方
  • 17-6 ベースマップ
  • 17-7 チャートを分類する考え方
  • 17-8 場所を示すチャート表現一覧
  • 17-9 作成手順

第18章 関係(To Whom)を可視化する

  • 18-1 利用するファイル形式の特徴
  • 18-2 ファイル形式にあったデータ操作の仕方
  • 18-3 チャートを分類する考え方
  • 18-4 関係を示すチャート表現一覧

第19章 インタラクティブに操作する

  • 19-1 なぜインタラクティブ技術が重要なのか
  • 19-2 インタラクティブ技術の目的は何か
  • 19-3 インタラクティブなデータ操作
  • 19-4 インタラクティブなビュー操作
  • 19-5 インタラクティブなシステム操作

第20章 レイアウトする

  • 20-1 レイアウトとは
  • 20-2 情報デザインの知見をおさえる
  • 20-3 読解プロセスの4段階
  • 20-4 チャートの基本配置
  • 20-5 空間利用のバリエーション

第21章 制作ガイドラインとしての価値観と原理原則

  • 21-1 データ可視化の5つの価値観
  • 21-2 原理原則1:正確性
  • 21-3 原理原則2:明瞭性
  • 21-4 原理原則3:実用性
  • 21-5 原理原則4:有効性
  • 21-6 原理原則5:芸術性
  • 本書に関するお問い合わせ
  • 会員特典データのご案内
  • 著者略歴

著者紹介

著者写真

矢崎裕一

株式会社ビジネス・アーキテクツにてユーザー・インターフェイス・デザイナーおよびアート・ディレクターを7年間経験後、独立。企業や教育機関での講義活動、ウェブサイトVisualizing.JPにおける情報発信、コミュニティData Visualization Japanにおけるコミュニティ活動など、データ可視化の実践と普及に関するさまざまな活動をおこなっている。共著書に『RESASの教科書』(日経BP、2016)がある。千葉工業大学デザイン科学修士修了。データ・ビジュアライゼーション・ジャパン発起人/Yahoo!ニュース・エキスパート。